外部寄生虫と猫~その1
〜その1というタイトルですが全2回の予定です。過去現在と猫に寄生した外部寄生虫について綴っていきたいと思います。
1.猫小穿孔ヒゼンダニ
◆猫疥癬と呼ばれる感染症。皮膚表面ではなく、皮膚内部に潜り繁殖を繰り返す厄介な寄生虫です。ミミダニ症の原因であるミミヒゼンダニはキュウセンヒゼンダニで違う分類になります。
◆この感染症に罹患した猫を見つけたのは2018年の秋。
庭へ引っ越してきた3匹の野良猫一家です。個人(猫)差はあるものの、耳の縁や頭から首周辺の皮膚病変に加え、前脚で掻く仕草がやたらと目につきました。仔猫2匹の内、一匹は「アアアアー!!!!!」と、かなり大きく悲痛な鳴き声で顔を掻いていました。
疥癬初期は一部の毛が禿げる程度なので判断が難しく、潜伏期間が一ヶ月前後と結構長いので大所帯にとって脅威となる感染症です。
治療薬
治療方法は動物病院での注射か服用薬(主成分/イベルメクチン。製品名/ストロメクトール錠)。
こちらは現在、世界情勢の影響により当分の間、入手困難になるような気がします。
◆下記の薬剤は、スポットオンタイプで個人でも簡単に治療が可能です。
製品名
1.レボリューション(ストロングホールド)
2.レボリューションプラス(ストロングホールドプラス)
3.アドボケ-ド
4.ブロードライン
◆ブロードラインについては、薬剤比較サイト等でヒゼンダニに効果無しとされていますが、エプリノメクチンが含有しており、こちらは疥癬治療に使用されています。
なので全く効果が無いわけではないようです。
◆全てフィラリア予防薬なので、病院では万が一の副作用防止としてフィラリア成虫の事前検査を行いますが、特に大人の野良猫はお触りするだけでも難しいので…野良母には食事の最中にサッとスポットオン製剤を投与しました。
野良母の状態ですが首の後ろが毛量が少し減り、前脚で掻き掻きする回数が普通の猫よりも目につくという程度でした。仔猫が疥癬だと分かったから気づけたようなものです。
キツネの疥癬
◆猫の疥癬騒動が終わった後、裏山で疥癬病のキツネを2度目撃しました。
2回目に見かけたキツネは皮膚が剥き出して、傷もありとても痛々しい姿。
シャイな自分ですら野生動物保護センターに電話をせずにはいられませんでした。
地元にある保護センターは、保護対象外のタヌキも治療、リハビリをしており、保護対象のキツネはどう対処してくれるのかと淡い期待をもって連絡をしたのですが、「キツネがうずくまって動けない状態じゃないと保護は出来ない」との事でした。
◆餌付け行為に当たるのは承知の上で、「なら餌の中に薬を忍ばせて治療出来ないのか」と尋ねましたが、思った通りNGなようです。じゃあ、これも自然淘汰と思って諦めよう…
…とは思えなくて、完全無視してしまいました。イベルメクチンが主成分の犬用チュアブル錠を購入し、キツネを目撃した2ヵ所の地点に設置してみることに。他の動物(タヌキとか)が食べる可能性もあり、目的の疥癬キツネが食べる保証は全くありませんが…。
翌日、様子を見に行くと2ヵ所とも無くなっていました。その後も数回に分けて設置した次第です。
◆再びキツネを見かけたのは、約1年後でした。
一回目と同じ場所で目撃したキツネは、冬毛のせいもあってか綺麗な毛並みをしていました。あの疥癬キツネだったら良いのですが…。でも、まあ別の個体であっても蔓延はしていなさそうで、その点は安心しました。
▼西日に当たりながら、気持ち良さそうに毛繕いしていた疥癬キツネ。
カメラを向けた途端、鼻をヒクヒクさせこちらを向きました。
匂いでこちらに気づいたようです。即座に逃げていってしまいました。
毛が禿げていて、疥癬病だとすぐ分かります。
2019/03/02
▼後日、見かけたキツネ。もし同じ個体ならば皮膚の状態がとても酷くなっています。
2019/03/29
▼今年一月に目撃したキツネ。本当は二匹で走っていたんですが、早すぎて一匹しか映せませんでした。ここは裏山の頂上なんですが通り道にしているのかな?
2020/01/25
ヒゼンダニに寄生された野良猫の子供達
こちらの猫は痒みが激しく、顔を必死に掻くので皮膚が傷ついてしまいました。
目がつり上がり、腫れぼったくなっています。痒いのは糞や脱皮殻、死骸に対するアレルギー反応との事です。
2018/11/04
一方、こちらの猫はフケが多いものの、痒そうな素振りはあまり見受けられず。
スポットオン製剤を投与した後は…、
一回の投与で効果を感じられました。痒がる事も無くなり、皮膚も綺麗に治癒。
数週間後に再投与し、飼い猫全員も念の為に。
仲良しになるのは良い事ですが、これでは感染必須なので。
2018/11/02
こちらはクロベ(♂)。
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